No.8 樹種と植栽本数

 

「水禽(みずとり)の 種類ちがへば 素知らずに」 【京極杞陽】



オリーブの品種は世界中に2000種以上あるとされます。

イタリアでは遺伝子レベルで715種が「イタリアの固有品種」とされ、そのうち395種類が公式に認められ、300種が実際に栽培されているそうです。
(IMG 0322trim2)
《 当圃場のルッカ(左) と ネバディロブランコ(左) 》


日本国内で最も有名な産地の小豆島にある香川県農業試験場小豆分場は66種の保存品種を有すると発表しています。(200941日現在)


当圃場は次の9種を導入しました。
(植付け本数)



それぞれに色々な特徴がありますが、表の上4種が日本の中での“4大品種”と言われるポピュラーな樹種です。

以下は、当圃場に到着したばかり、圃場に植えつける前の苗木たちです。
(IMG 0262)
《 ネバディロブランコ 》

大きいものは樹高3m、重さ40Kgほどありました。
このあと剪定して刈り込みましたので、現在のところは随分とスリムにスマートになっています。




これら9種類の苗木は、栽培条件を比較すること等を前提にして、単位圃場ごとに品種をまとめ意図的に計画的に配置しています。 
(「No.3 単位圃場と番地」に紹介しています。)
(IMG 0263)
《 ネバディロブランコ(左) ルッカ(中央) マンザニロ(右) 》


外見から種類の違いを見分けるのは、なかなかに難しいようです。
目を養いながらよくよく観察していくと、葉の形や色、樹の伸び方や広がり方、実の大きさや形など、だんだんと分かってきます。
(そんな特徴は、後日に紹介します。)
(IMG 0277)
《 ミッションとルッカ(箱入り) ベルダーレ(右) 》

 

大き目の苗木は挿し木から育てて4〜5年経ったもの(「4〜5年生」と呼びます)、小さ目の木は3年生です。
この樹齢の時期には、倍々ゲームよろしく育っていきます。
(IMG 0251)
《 オレアJ5(左) と カツマ(右) 》


これらのうちから天草の地に合うもの、育て易いもの、商品価値の高いもの等々を絞り込んでいきます。
デッカイ果実がなるという「ジャンボカラマタ」など、新しい品種についても積極的に導入を図りたいと考えています。



今週も、お馴染みの.....
(ネコジャラシ)

《 エノコログサ(狗尾草) イネ科    俗称:ネコジャラシ 》

 

 

本名は《 犬*** 》で、通称は《 猫*** 》。
「猫がじゃれているのは犬の尻尾...」とは、なんとも洒落たネーミングの野草です。

(松)











No.7 圃場の排水対策

 

「忍従の 兵這ひ泥土 馬を喰ふ」 【片山桃史】



当圃場は「佐伊津層」と呼ばれる天草独特の地層で構成されています。
砂とコブシ大の礫(石ころ)に加え、粘度が極めて高いシルト(粘土)の混合物である土壌は、互いに粘着した状態では殆ど水を透しません。
圃場造成とオリーブ樹植付けの作業を通して、ドブドブの「ぬかるみ」に人も機械も大いに悩まされました。
(ぬかるみ)(大型ブルトーザがはまり込んだ跡)



この対応に当圃場は、部分的に暗渠排水管として地表下70Cmくらいに“ネトロンパイプ”と呼ばれる穴開き管を埋設しました。
(ネトロンパイプ)(溝掘りしてネトロンパイプを敷設)


(透水フィルター)(疎水材=砕石と透水フィルターで目詰まりを防止)



暗渠排水管を敷設した後で、圃場全体を耕起しました。
(スタビライザー)耕運機の親玉のような重機械、「スタビライザー」です。
圃場全体を掘り返し、雑草を鋤き込んだ当初は“ふっかふか!”の畑になりましたが、雨が多かったこともあって冒頭のように「佐伊津層」の逆襲に遭いました。



現在のところ排水管は大活躍!地中の水をせっせと排出してくれています。
オリーブの樹は勿論、この排水管の直上に植えました。
(暗渠排水管の上のオリーブ)(暗渠排水管の直上のオリーブ)

御領圃場の内部には(表面からは窺えませんが...)、こうした工夫や手立てを駆使した重要な要素が埋まっていて、オリーブ樹の成長を支えています。




どこにもあるような...
(ハルジオン)《 ハルジオン(春紫苑)  キク科 》

※殆んど見分けのつかない 《 ヒメジョオン(姫女菀) 》 がありますが、
  これは多分多分? ハルジオン!!




野の花の盛りは、ほんの束の間ですが、手をかけないからこそ、あるがままの姿を見せます。(松)











No.6 実が成りました!

 

「よろこべば しきりに落つる 木の実かな」 【富安風生】



6
月中旬、思いがけず大きな実が成りました。
「す−6」、No.306のルッカです。


合計3コですが、栽培第一線にとっては、やっぱり嬉しい出来事です。
現在の樹に、花は咲いても実を付けるだけの体力はないと観測していましたから一種の驚きではあります。




しかしこの周りには、小さいままでの夥しい数の落果が見られます。
5月から6月にかけて咲いた花の、おおよそ9割くらいは落花/落果してしまい、僅かに1割くらいが「実」として残っているようですから、やはり樹の体力はそれなりだと分かります。

以下、3つの写真は「マンザニロ Manzanillo」種です。
枝々の一帯を探すことなく、どうにか実の存在が分かります。
(オリーブの実(2))

マンザニロは、“小さなリンゴ”(スペイン語)を意味します。
確かに、名は体を表わしています。




オリーブには“隔年結果”という性質もありますから、来年の収穫を期待する上では適度に摘果し(実を間引く)樹の成長を促す必要がありますが多分、殆どの実は自然に落果するであろうと考えています。

(オリーブの実(3))

※隔年結果とは:
1年おきに豊作/不作を繰り返すことで、ミカンやリンゴ、カキなどで顕著に見られ、果樹農家の経営を圧迫する要因といわれます。
豊作年を“表年(おもてどし)”、不作年を“裏年(うらどし)”とも呼びます。



8月に入ってからも「か−6」、No.93のマンザニロは比較的多くの実を付けています。
さてさて秋〜冬にかけての収穫期には、このうちの何個が残っているでしょう?
(オリーブの実(4))





今回の雑草は、意外とファンが多いそうです。
(ネジバナ)
《 モジズリ(捩摺) / ネジバナ(捩花)  ラン科 》




圃場の至るところに鈴生りのオリーブが実る風景は、さぞ壮観なものでしょうから、来春の出来事に大きな期待が膨らみます。
(松)











No.5 オリーブの樹の名前札

 

「新生児の 手首に名札 小鳥来る」 【中川靖子】



No.3の記事のように圃場No.と割付記号(例えば「う−7、D4」)を表現すると、それぞれオリーブの樹を植えている位置は特定できるようになっています。
(ミッション)


しかし、「う−7、D4」の位置にあるミッション種の樹は植え替え等々を経て、どういう履歴を辿ってきたのか…等の要求には応えることができません。
そこで当圃場は、それぞれの樹に樹種ごとの固有番号を付けています。
これによって「う−7、D4」には「No.231のミッション」が植わっているという情報が付加され、圃場の位置と樹の固体との間に関連付けができています。



この名前札は樹種ごとに色分けしています。
(ルッカ) 

 (ベルダーレ)

(シプレッシーノ) (オレアJ5)

(フラントイオ) (カツマ)  

この「名前札」システムは、「No.231のミッション」から手繰っていくと、購入先・購入日・植付け日・植替えの情報・生育の情報・消毒や施肥…等々の情報が分かる仕組みになっているのです。


小さなことですが、名前札も付属の黒い紐も耐候性(紫外線などの影響を受け難い性質)のある素材を採用しています。




今日のインベーダーはこれ!
(ウスバキトンボ)
《 ウスバキトンボ (薄羽黄蜻蛉) 》

いまの時期にお馴染みの “盆トンボ” です。
(松)











No.4 花が咲きました!

 

「木の花の 匂ひ五月の 森の奥」 【片山由美子】



新芽の後を追うように花芽が出てきます。 蕾です。
今年は5月半ば頃から待望の花が咲き始め、樹種によって開花時期は少しずつ異なって6月始めまで続きました。




9種類のうちミッションが真っ先、次いでルッカ、殿(しんがり)はネバディロブランコでした。
樹が育ったときには、落ちた花弁で周りが真っ白い絨毯で覆われたようになるそうですから、次の春が待ち遠しくなります。





ところで、オリーブは自家結実性が低いので一つの畑や区域の中に2種類以上の樹を植付けるように推奨されています。
当圃場では9種類のうち最も花粉の量が多いと言われるネバディロブランコを「授粉樹」として、単位圃場当りに2本を、圃場全体に356本を配置しています。(全数1,626本の22%に当ります。)





授粉は主に風媒によると言われますが、写真の蜂も協力して今年のところはまあまあ上手くいったようです。





圃場ではいろんな訪問者や侵入者やらに出くわします。
さて、インベーダーは何処に?
(ナナフシ)《 ナナフシ (七節、竹節虫) 》



新梢が出て、予想を上回る数の花が咲きました。
続いての実が成る...は、乞うご期待!
(松)











No.3 単位圃場と番地

 

「花野にも 番地のありて 人住まふ」 【堀米秋良】



当圃場のオリーブ畑は進入道路の上下に、また圃場内作業車路の左右に位置する凡そ1.6ヘクタールの一帯に9種類、1,626本のオリーブを植栽しています。



この広さの中で「あそこ、あっち、こっち...」だけでは意思の疎通ができませんから、「何処に、何を…」と示すときの基準として、圃場やオリーブ樹の位置それぞれに固有の番地を付与しました。
おかげで、番地ごとに住人も違うことに改めて気付かされます。

圃場全体は16m×16mの区画でコマ割りを施した“単位圃場”で構成し、一つの区画には基本的に25本のオリーブ樹を植えています。

(単位圃場)

“単位圃場”は16m間隔で南西→北東(図面上の列方向)に向けて「あ〜た」の、北西→南東(図面上の行方向)に「1〜10」の記号を付け、これを組合わせて“圃場No.”と呼びます。
更に単位圃場の中を2mの間隔で列方向は「AG」、行方向は「17」に細分し、これを“割付記号”としました。


この番地システムでは例えば「う−7」だけでエリアが判り、更に「D4」と言えば特定の植え位置が指定できますから、これで目的地に直行!できるという訳です。
「御領圃場 う7丁目 D番 4号」の感覚でしょうか。
因みに、単位圃場ど真ん中のココ「D4」には「No.231」の名前札を付けた“ミッション”が植わっています。(詳しくは次々号で...)





実際の圃場は、単位圃場ごとに圃場No.を記した看板を設置し、“トラロープ”で区切られています。

圃場を切り裂く?“縦貫道路”です。




「た−4丁目」には、こんな営みが...

(カタバミ-1)《 カタバミ(片喰)  カタバミ科 》




当圃場のオリーブの樹々は“タテ−ヨコ−ナナメ”に整然と並んでいますので、圃場内を進むにつれ方向を見失いがちですが、これらの仕掛けのおかげで迷子にならずにすみます。
(松)










No.2 新芽が出ました!

 それぞれに 名のりて出づる 若葉かな 【千代女】

 


オリーブの葉の色は樹の種類によって幾らか異なりますが、おおよそ表面は深緑色、裏面は銀白色をしています。
3月中旬頃から鮮やかな黄緑の新芽が出始めます。
(花芽0236)



その多くは側枝と呼ばれる小枝などから出てきて、翌年にはこの新芽の枝に花が咲き実を付けます。

折角の新芽を剪ってしまうと当然、翌年は花芽が付きませんから、「来年は何処に実を付けさせようか…」とよくシミュレーションして剪定しなければなりません。
(花芽1853)



その一方で写真のように「えー!こんなとこに?」っと、芽吹く箇所を選ばないのもオリーブの特徴です。

(花芽1901)



思い切って剪定してよい!と言われる所以はこんなところにもあるのでしょうが、写真のモチーフに選べるほどの意外な生命力の強さを見せてくれます。

(花芽0347)



雑草にも新芽が...
(ヤハズソウ)《 ヤハズソウ(矢筈草)  マメ科 》



苗木を植え付けた後に新芽が出てくるのは、“根付いた証”と言われます。

取り敢えずの、一安心です!

(松)










No.1 雑草そして除草!

「夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の跡」 
【松尾芭蕉が奥の細道の終点で詠んだとされる名句】



このところ当圃場にも夏草(早い話…“雑草”)が生い茂ってきました。

(法面の雑草)(圃場法面の雑草)


(圃場内の雑草)(圃場内部)


ところで、天敵「オリーブアナアキゾウムシ」は、雑草の陰で休み休みしながら目的のオリーブの樹に辿り着くそうですから、オリーブ栽培にとって“草取り”は極めて大事な作業になりますが、つまるところ雑草との闘いでもあるようです。

(水鉢内の雑草)(植え穴部)


できるだけ除草剤等を使わずに人の力で草を抜き草を刈る方針を採る当圃場には、エンジン付き草刈機が必須アイテムです。
次の写真は草刈機取り扱いの安全講習を受講する様子。
より安全なように回転刃にはナイロンカッターを使っています。
手作業に比べると格段の効率化を図ることができますが、実際の作業に携わるまでには重ねての訓練が必要です。

(草刈機講習)


圃場の中には、こんな可憐な花も咲いています。
もちろん刈り取ってしまいますが...

(圃場内の小さな花)《 ニワゼキショウ(庭石菖)  アヤメ科 》



次回からは少し時間を遡りながら、オリーブ園の出来事などを報告してまいります。
(松)











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